2013/3/13
上質のおとぎ話 映画

『王になった男』鑑賞。
実在の朝鮮15代目の王・光海君と、
王の影武者となる道化師ハソンの二役を、
時代劇初出演のイ・ビョンホンが演じている。
脚本は『オールドボーイ』でカンヌ審査員特別賞のファン・ジュヨン。
韓国ならではの食事メニューがたびたび出てくるのも見どころ。
ストーリー展開に不可欠だった“小豆粥”を作らなければっ!
と思った人も少くないはず。
歴史大作と言われているが、光海君をモチーフとした創作で、
歴史を動かすわけでもないので、
道徳を説く名作絵本を読んでいるような話だった。
自分の心の持ち方次第で周囲も変わっていく。
それは、政治でも日常生活でも当たり前のことのようであり、
実際にはそうはいかない、本の中のおとぎ噺のようでもある。

とほぼ同時に、実際に策略によって病に伏せてしまった王が回復するまで、ハソンは王として公務を執り行わなければならなくなった。

最初は言われるままに受け答えや押印するだけだったが、法や政策を学ぶうちにすべきことを自分で判断し采配をとるようになる。
《ここは“よくある話”ですが、青字部分はネタバレになるのでご注意ください》
政治のしがらみなど関係ないハソンのふるまいに
最初は懸念していた家臣たちも、ボディガード役の家来も、
ハソンの正義感や人情味あふれる言動に心を動かされていく。
王が戻れば消されるハズの運命も、王の心まで変えてしまったハソン。
ところで、平民には想像のつかない王の生活ぶりは、
あまりにも落ち着かない。
ポータブルトイレ(和式!)をその都度女官が持ってくる、
見てる前でする、大勢で拭いてくれる、排泄すると
「おめでとうございます」とひれ伏して祝福される。
教訓と風刺の詰まったこの物語、
児童文学や絵本にして道徳教材としてほしい。
イ・ビョンホンの演技派俳優ぶりよりも
横顔が大泉洋にそっくりなことに驚いた。
家臣3人が信頼できるいい人ばかりで、俳優もそれぞれいい味を出していてよかった。
温水さん系の執事みたいな人とか…
予想以上に、レディースデーの劇場はマダムばかりだった。
いかにも韓流ドラマ好き!な数人連れがほとんどで、
暗くなっても、予告に入っても大声で話していた。
噂通り、金返せー

映画が始まった途端に静まった。ほーぉ、渋谷はまだ大丈夫だぁ。
一人二役のイ・ビョンホンの演技力の高さが評価されているが、
演技力ならとっくの昔に確認している!
最近の必見作は、
婚約者を惨殺された刑事が復讐に燃える『悪魔を見た('10)』。
あまりにも残虐で、冒頭で映画館に観に行ったことを
後悔したほどの衝撃作だが、映画としては完璧で
イ・ビョンホンのカッコよさ全開だったー。
