2010/8/30  16:05

覚え書き〜悪性リンパ腫について〜   悪性リンパ腫について

1、リンパ腫について

リンパ腫とは、簡単にいうと血液の癌です。白血球という免疫機能を司る血液細胞の中のリンパ球が腫瘍化する病気です。腫瘍化したリンパ球は、血液の中だけでなく、リンパ節や脾臓、肝臓、腎臓、腸管、骨髄、脊髄など多様な部位で増殖します。その増殖した部位により、症状や検査、治療法が変わってきます。 なお、リンパ肉腫、リンパ性白血病など様々な呼び名がありますが、基本的には同じ病気です。


2、リンパ腫の症状について

リンパ腫は増殖をした部位により症状が変わってきます。一般症状は、元気・食欲の減退、削痩、微熱、脾腫などです。血液が流れている箇所(全身)のあらゆる部位にリンパ腫は発生しますが、代表的なものを以下にまとめました。

@多中心型リンパ腫:体表のリンパ節が大きく腫れてきます。肩や腋の下、顎、股、大腿部の皮下にあるリンパ節がシコリとして触れるようになります。また、お腹の中のリンパ節なども腫れてきます。

A消化器型リンパ腫:胃や腸管に腫瘍ができ、お腹の中のリンパ節が腫れてきます。下痢、血便、嘔吐が続き、下痢止めなどのお薬では治りません。

B 縦隔型リンパ腫:左右の肺の間のリンパ節が大きく腫瘍化します。腫瘍が大きくなると咳が出たり胸水により呼吸困難になったりします。

C皮膚型リンパ腫:皮膚にできるリンパ腫です。見た目に皮膚病や外傷に見える場合もあります。

脊髄リンパ腫:脳神経系に腫瘍ができ、神経症状がおこり、痙攣や麻痺などの症状が現れます。

骨髄リンパ腫:血液を造る骨髄にリンパ腫が発生します。貧血になり顔色が悪くなったり、出血が止まらなくなったりします。


3、リンパ腫の診断方法

@まず、一般的な健康診断を行います。この段階で、体やお腹の中にシコリが触れたら、そのシコリの検査を行います。シコリが外側からの検査で見つからない場合は、レントゲン検査と血液検査を行います。レントゲン検査では、胸の中やお腹の中の腫瘍を捜します。また血液検査では、リンパ球が腫瘍化していないか、肝臓や腎臓などに異常がないかなどを調べます。

A視診や触診、レントゲンで見つかったシコリは、そのシコリがリンパ腫かどうか確認するために、危険な場所でなければ針を刺して中身の細胞の一部を吸い出し検査します。リンパ腫であれば、リンパ芽球と呼ばれるリンパ球が多数見つかる筈です。

Bシコリの細胞にリンパ芽球細胞があれば、間違いなくリンパ腫です。しかし、シコリが危険な場所にあり、針生検が出来ない場合があります。血液検査で、血液中にリンパ芽球が多数存在するならば、そのシコリもリンパ腫に間違いないと考えられます。

Cシコリが見つからず、血液中にリンパ芽球が多数存在する場合があります。本来、リンパ芽球は血液にはほとんど存在しません。ですから、リンパ芽球が血液中にあればリンパ腫の疑いは高いです。シコリがまだ小さかったり、脊髄や骨髄内に腫瘍細胞があると、リンパ腫を確定する事ができません。その場合、骨に穴をあけて骨髄検査を実施したり、脊髄造影検査が必要となります。検査に危険性が伴う場合もあるため、飼主様とよく相談の上検査を実施するか決定します。検査が困難な場合でも、難治性の下痢が続いたり、原因不明の貧血や麻痺が見られ、血液にリンパ芽球や白血球の数が増加している場合は、リンパ腫の疑いが強いため試験的にリンパ腫の治療を行うこともあります。


4、リンパ腫の治療方法

先に述べたようにリンパ腫は血液の癌です。リンパ腫のシコリがあっても、リンパ腫細胞は血液の中を流れています。ですから、基本的に外科手術はしません。シコリを摘出する事によって延命が期待できる場合以外は、抗癌剤治療となります。リンパ腫は抗癌剤治療により延命が期待できます。ただし、リンパ腫は完治できません。生活観の向上や延命効果はあっても血液中の腫瘍を完全に除去する事はできません。抗癌剤治療は、腫瘍の状態によって治療間隔を伸ばす事はできますが、治療そのものは一生続くことになります。



※抗癌剤の種類

@エル-アスパラギナーゼ(商品名:ロイナーゼ)
投与経路:皮下注射   
投与間隔:7日以内
作用・適応:リンパ細網系腫瘍に効果。癌細胞に必要な栄養の生成過程の一部を止めることにより、癌細胞の枯渇させると言われている(蛋白合成抑制)。正常細胞はこの栄養素を必要としないため致命的な副作用が少ない。4〜5回の投与で耐性ができるため多用せず、他の抗癌剤の投与が困難なときのためのレスキュー用とするのが一般的。
副作用:アレルギー反応、白血球減少症、播種性血管内凝固症候群、膵炎

Aブレオマイシン(商品名:ブレオ)
投与経路:皮下注射   
投与間隔:7日毎(ビンクリスチンと同時投与の場合は14日以内)
作用・適応:扁平上皮癌、その他の癌に効果。細胞分裂のG1・S・M期に作用し細胞分裂を中止させる。細胞分裂中の細胞以外にも効果。腎臓から排泄されるため、腎不全では投与量を控える。
副作用:アレルギー反応、肺線維症

Bビンクリスチン(商品名:オンコビン)
投与経路:静脈注射    
投与間隔:7日毎(ブレオマイシンと同時投与の場合は14日以内)
作用・適応:可移植性生殖器肉腫、リンパ肉腫に効果。細胞分裂のM期に作用する。抗癌剤投与時に起こりやすい血小板減少症にならず、増加させる効果がある。
副作用:末梢神経障害、感覚異常、血管周辺の壊死、稀に白血球減少症 

Cドキソルビシン(商品名:アドリアシン)
投与経路:静脈注射    
投与間隔:3週間毎
作用・適応:リンパ肉腫、骨源性肉腫、その他の癌・肉腫。細胞分裂中の細胞以外にも効果。細胞毒性のある抗生物質。遺伝子(DNA、RNA)を傷害し(癌)細胞を破壊する。投与時に心中毒を起こす場合があるため、投与に時間をかけなければならない(最低半日の入院が必要)。
副作用:骨髄抑制(白血球減少症、血小板減少症)、悪心、出血性大腸炎、嘔吐、血管外組織壊死、まれに腎不全、投与時の心中毒、投与2日後まで尿が赤くなることがある。

Dシクロホスファミド(商品名:エンドキサンP)
投与経路:経口投与    
投与間隔:2〜3日毎(夜間の投与は避けること)
作用・適応:リンパ細網系腫瘍、乳腺癌、肺癌、肥満細胞腫、その他の肉腫。細胞分裂中の細胞以外にも効果。
副作用:無菌性出血性膀胱炎、骨髄抑制、嘔吐

Eその他の抗癌剤:上記の抗癌剤で効果がなかった場合や他の腫瘍の場合に投与。

ビンブラスチン(商品名:エクザール)
投与経路:静脈注射      
投与間隔:7日毎(ブレオマイシンと同時投与の場合は14日以内)
作用・適応:リンパ肉腫、肥満細胞種、その他癌。細胞分裂のM期に作用する。
副作用:胆管炎、骨髄抑制、嘔吐、血管周辺の壊死、末梢神経障害

シタラビン(商品名:キロサイド)
投与経路:静脈注射
投与間隔:7日以内
作用・摘要:リンパ腫、白血病、その他腫瘍。細胞分裂のG1期からS期への移行を妨げる。エル-アスパラギナーゼとの併用による相乗効果。
副作用:骨髄抑制、悪心、嘔吐、腎毒性、肺毒性

ステロイド(商品名:プレドニゾロン)狭意での抗癌剤とは違います。
投与経路:皮下注射、経口投与 投与間隔:1日1〜2回
作用・適応:単味でもリンパ細網系腫瘍、肥満細胞腫に効果。抗ショック、抗アレルギー、抗炎症作用。抗癌剤治療時の補投与薬。細胞毒性なし。
副作用:多飲多尿、長期使用により副腎皮質機能異常、免疫力低下、胃潰瘍。







以上
きりがおか動物病院
関口先生のサイトより 参照


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