ペット大国日本が抱える問題。
葬儀から霊園まで、
「ペットの死」
をめぐるトラブルの現場
(ダイヤモンドオンライン 2010年6月25日配信掲載)
2010年6月28日(月)配信
道路脇に止められた1台のトラック。
喪服の女性が荷台に花を捧げ、
手を合わせている。
執り行なわれているのは
“ペットのお葬式”。
「移動火葬」と呼ばれ、
死骸は備え付けの焼却炉で火葬される。
最近、
死んだペットを人間と
同じように弔う人が増えているのだ。
犬猫合わせて2200万匹のペット大国となった日本。
しかしいま、
その墓や葬儀をめぐってトラブルが相次いでいる。
今年3月、
取材班の元に届いた1通のメール。
そこには凄惨な写真が添付されていた。
袋に入れられ、
無造作に投げ捨てられた犬の死骸。
誰がなぜこんな酷いことをしたのか。
埼玉県飯能市。
写真が撮られた現場は人里離れた山林だった。
第一発見者は地元の猟友会の男性。
山に入ると、
斜面一面に犬の死骸が入った
ポリ袋が散乱していたという。
動物愛護団体と共に現場を調査すると、
死骸の多くが洋服を着ていたり、
千羽鶴が添えられていたりと、
火葬に付される前の状態であることが判明した。
4月、ペットの葬祭業を営む男が
詐欺などの疑いで逮捕された。
ペットの死骸を火葬するといって
飼い主から料金を取り、
実際には捨てていたのだ。
犯行は10年近く続いていたとみられている。
6月16日に行なわれた初公判。
検察側の冒頭陳述によれば、
男は同業者との
価格競争が激しさを増す中、
コストを抑えるために死骸を捨てたという。
一体どんな手口だったのか。
被害者の1人、
笹木恭子さんを訪ねた。
笹木さんの愛犬が死んだのは去年12月。
思い出を手元に置いておきたいと
2万円で火葬を頼むことにした。
当日、男は一人、
ワゴン車に乗って現れた。
トランクに用意されていたのは祭壇と棺。
悲しみに暮れる笹木さんを前に、
男はカセットテープで
お経を流しながら
別れの言葉を述べ始めたという。
「もっと一緒にいてあげればよかった、
可愛がってあげればよかった・・・
と涙をそそるような言葉を
並べ立てるので涙が止まらなかった。
信じ切っていた」
と笹木さんは悔しさを滲ませる。
事件の発覚後、
笹木さんは不安を感じ、
火葬後に送られてきた
骨壺の中身を獣医に見てもらった。
その結果、騙されていたと判る。
骨の中に、
歯の欠片が混ざっていたのだ。
笹木さんの愛犬は年老いていたため歯がなく、
歯茎で餌を食べていた。
それにも関わらず、
尖った歯が沢山入っていたのだった。

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